確定拠出年金の波が実生活に到来

年々加入する事業者が増えている「企業型確定拠出年金(DC)」の波が、ついに私にも到来しました。私の所属する企業でも導入が決定し、その準備が着々と進んでいます。

導入する企業が増えていると言っても、実際に自分の務める会社が導入するまで実感を持ちにくい制度ですから急遽いろいろ調べることになりました。今回の導入に当たり自分で調べてわかったことや説明窓口となった信託銀行から得た回答をまとめます。

私と同じように導入が決まった会社に勤めている方などが、何を聞いたほうがいいか分からないという場合の助けになれば幸いです。

そもそも確定拠出年金とは

ここでは簡潔にするため、日本で企業に雇用されて生活する人を対象とします。

日本の年金制度は3階建てと言われています。最も基本的な国民年金、そこに上乗せとなる厚生年金が1階と2階として公的年金です。3階に当たるのが任意で加入する私的年金で、確定拠出年金は私的年金の種類の1つとなります。

確定拠出年金の基本的な考えを説明します。現役世代の間に掛金を拠出し投資や預金として運用し、そこで生まれた損益を反映したものを老後に受給という形で受け取るものです。大きく受給額が増えることもあれば減ることもあり得るというわけです。運用に責任をもつのは本人です。

例えば株式投資や預金という形での運用は確定拠出年金でなくても個人で可能ですが、同じような運用方法だとしても確定拠出年金には税制面で大きな優遇がされるため注目を集めています。

厚生労働省資料を基に作成
厚生労働省資料を基に作成

確定拠出年金の種類

そしてその確定拠出年金には大きく2種類があります。個人型確定拠出年金もしくは個人型DC(iDeCo)と呼ばれるタイプ、企業型確定拠出年金もしくは企業型DCと呼ばれるタイプです。

前者は個人が主体となって加入する年金で、後者は企業が主体となって加入する年金です。違いは掛金を積み立てる主体がどこにあるかとなっており、企業型DCでは企業が掛金を損金として計上して納めることになります。

企業型DCは企業が導入を決定した場合、基本的に従業員はその決定に従う必要があります。

課せられる制約

原則として掛金として拠出した資金は、受給が開始される年齢まで引き出すことができません。途中でお金が必要になったとしても、通常は自由に口座から出勤することができない点に注意が必要です。

転職しても引き継がれる

DC口座は企業に紐付いているわけではないため、受給前に転職したとしても次の転職先にその口座を引き継ぐことができます。ただしそれは転職先の企業でもDCが導入されていた場合に限ります。

導入されていない企業に転職した場合、すでに拠出していた掛金の運用は変わらず続けることが可能ですが、新たな掛金の拠出はできません。

どの企業型DCのタイプなのか調べる

「選択制」であるかどうかを知る必要があります。

選択制であるかどうかとは、企業型DCを導入した企業が従業員に対して実際に掛金を拠出するかどうか選択させるということです。この場合、企業としてDCを導入していても従業員によって加入していたりしていなかったりすることとなります。

選択制で加入しないことを選んだ場合、掛金の代わりに同等額を一時金として受け取ることが可能です。この場合、税制面の対応が変わり掛金分が控除される優遇がなくなります。

選択制で加入することを選んだ場合、給与から一部が減額されて拠出されることがあります。この場合、制度上は給与が減ったとみなされるため標準報酬月額が減額となります。これは社会保険料や厚生年金の等級が下がることを意味しており、人によっては将来的な支給総額が目減りすることもあり注意が必要です。

この点を問題視した記事がプレジデントオンラインに掲載されています。

面倒くさい場合の質問方法

厚生年金の等級が下がったりしますか?」と聞くのが最短で答えを得る道だと思います。説明窓口としても事実と異なる回答はできないため、正確な回答を期待できます。

私の場合は選択制でなく企業側が全額を拠出するタイプでしたが、一応上記の質問を行い、等級が下がることはないとの回答を信託銀行担当者から得られました。重要な良い質問だったそうです。

導入前後の年金支給額の差を調べる

企業が拠出する掛金を決定する際に、現行の年金制度に対して従業員が有意に不利ではないことを示すためにモデルケースが作成されている場合がほとんどです。

このモデルケースで適用された運用利回りを知ることが必要です。これを知らなければ「導入によって年金が増える可能性が高いと言うけれど、どれだけ上手く運用したら達成できるのか」ということが分かりません。

年に何%の運用利回りを想定していますか?」と尋ねることが手っ取り早い回答を得る道でしょうか。高い運用利回りでなければ現行制度よりも年金額が減額となる公算が高ければ、それはあなたにとって不利な制度の導入が行われようとしていることになります。

私の場合は元本保証商品(利回り≒0%)で全額を運用したとしても、現行制度よりも増額となっていたため特に反対する理由がありませんでした。

商品のリストを調べる

DCでは、信託銀行など企業型DCを管理する機関が掲示する商品からしか運用する商品を選ぶことはできません。リストにない商品で運用したいと思っても、それは出来ないということです。

企業毎に異なる導入予定の商品の一覧を早めに調べ、運用の計画を作ることが重要です。悪い商品しかなく運用利回りを確保できそうもない場合は打つ手がなさそうです。

また制度上、掲示できる商品数にも上限が設けられているため、運用利回りを良くするためにも商品の一覧の選定が重要です。とはいえ、一介の会社員では選定に携われることは珍しいでしょうしこればかりは運任せです。できることといえば事前に社内担当者に自分の欲しい商品をアピールすることくらいでしょうか。

海外勢ETFの手数料値引き競争が激化している昨今、日本で主流の投資信託の手数料はまだまだ高いものが多いですが、正直なところ企業型DCで提案される商品の手数料はその比ではないです。

説明窓口となった信託銀行の担当者は「手数料が安いからと言って良い商品とは限らない」と説明していましたが、その逆もまた成り立つとは思えないため上手く躱された印象です。

企業型DCは企業担当者さえ抱き込めれば従業員が付随して加入するため、一般の市場競争が働きにくいです。こういった部分が日本で投資の意識が向上しない要因だと個人的には思っていますが、いかんともしがたいですね。

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