2018年末の急落をどう見るか

2019年1月13日

景気後退の前兆か調整か

この数年間、ひたすらに上昇を続けてきたアメリカ株相場でした。しかし2018年初頭に暴落し、法人税改正を好感し持ち直すも米中対立の激化と利上げを嫌気し年末にはマイナス圏にまで再び暴落しました。

2019年1月中旬時点では、この暴落に対してひとまず反発の機会が訪れていますが、これはデッド・バウンス・キャットなのでしょうか、それとも調整を終えて再び上昇に向かう序章なのでしょうか。

いずれにせよ2019年はここ数年と異なり、上下にボラリティの激しい年となることが多くの投資家から予想されています。私も同調しています。

注視が必要な材料

一連の暴落がただの調整の場だという意見を持つ投資家もしくは金融業界関係者はは、今なお力強い雇用統計や各企業の決算が悪くないことを根拠としています。

では反対に本格的な弱気相場への入り口だという見方の根拠となる材料はなんでしょうか。少し紹介してみます。

アップル、サムスンの減速

アップル(AAPL)が10月に発売したiPhoneの新機種 iPhone XRの売上への期待は大きく裏切られています。生産台数を大きく引き下げ、売上高の見通しも引き下げとなりました。業績見通しを引き下げたのは、2011年に現在のCEOであるティム・クック氏が就任してから初めてのことです。

クック氏はこの理由について中国市場での不調を理由に挙げています。

これまで売り上げを伸ばしていた企業が減速したとき、確認しなければならないのは競合他社の状況です。その企業が単独で減速しただけならば、その影響は比較的小さく見積もれます。しかし他社も同じ状況であれば話は変わります。

強気派が強気で居続けるためには今回のアップルの減速がアップル単独であることが望ましい状況でしたが、1月8日にはサムスン電子も後を追うように弱気な見通しを発表しています。

もっとも、サムスン電子の場合は直近四半期の営業利益の75%をメモリー事業に依存しているため、弱気な見通しが即業界全体に直結するというのは短絡的かもしれません。

アップルとサムスンが不調であることを、世界で大きな経済規模となった中国市場の本格的な減速のサインと見なすかどうかで今後の投資姿勢を変更する重要な材料だと考えます。

アメリカ製造業の弱さ

1月3日に発表されたアメリカ製造業の景況感指数は、市場予想を大きく下回り、10年ぶりの大きな下げ幅となりました。製造業の環境に対するムードが大幅に悪化していることは、アップルが中国需要の低下を示唆していることと合わせると大きな懸念点となるでしょう。

ただ今回発表された景況感指数の54.1という数字は、景況感悪化の分岐点とされる50を依然として上回っているため、それほど深刻にとらえる必要はないという意見もあります。

ドイツ銀行の赤字見込み

もし経営破綻すればリーマンショック以上の影響と言われるなど「大きすぎて潰せない」の代表格であるドイツ銀行ですが、経営が厳しい状態にあり建て直しが急務となっています。

ここ最近スキャンダルに見舞われ、次々と悪材料が報道されるドイツ銀行。多すぎてもはや小粒と見なされる悪材料ですが、直近の四半期決算が赤字になるとの観測が報道されています。

ドイツ政府は再建を進めるため自国メガバンクとの合併の道を模索している状況ですが、再建が間に合うとみるかどうかで大きく戦略が変わるでしょう。

金融業界の人員整理

金融のことはプロである金融業界を見ることが理にかなっています。資産運用会社や銀行やヘッジファンドらは、相次いで人員削減の動きに入っています。

2019年に入ってからブルームバーグ誌で報道されている状況の一例が以下です。

  • ブラックロック:全従業員の3%を削減
  • ステート・ストリート:上級管理職15%を削減
  • モルガン・スタンレー:成績不振の従業員を解雇
  • 野村:欧州人員を削減

これらの人員削減の動きについて、少なくとも各社がこれまでのような楽観差は見せていないことが分かります。彼らの見通しに追従するかどうかということになります。


アメリカ株を何気なく語りますが、どのような市場で構成されているのか、振り返ってみてはどうでしょうか?簡潔にまとめてみました。