【GD】銘柄分析:ゼネラル・ダイナミクスは原子力潜水艦や軍用車両でアメリカの軍事力を支える

2019-03-28

50年以上米軍を支える専門性の高い技術力

ゼネラル・ダイナミクス(GD)は航空宇宙と国防分野を手掛ける軍需企業です。

元々は1952年にデラウェア州で設立された企業で、1990年代から航空機メーカー、戦闘車両やC4ISR関連や造船所の買収を繰り返すことで現在の企業構造へと至っています。

企業の重役などが用いるビジネスジェット、軍用車両や潜水艦を手掛ける企業です。

前述したように商業向けの製品も取り扱っていますが、主となる顧客はアメリカ国防総省が約60%を占めており軍需企業としての性質が強いことが特徴です。取り扱いに注意が必要な軍事を司っているため業績はその時々の政策に大きく左右されますし、詳細な事業内容を公開できないことも少なくありません。

GDの事業セグメント

Aerospace

Gulfstreamのブランド名で知られるビジネスジェット、その他ビジネスジェット関連のアフターサービス事業で構成されたセグメント。

中型から超大型キャビンのビジネスジェットを手掛けており、幅広い価格帯とオプションによるカスタマイズができ、ラグジュアリーな航空機という印象が強い方向性の事業となっています。

この数年はGDの約25%を占めるセグメントとなっています。

G700 – Gulfstream Aerospace

Combat Systems

アメリカ政府とその同盟国向けに、戦闘車両や武器システムを提供するセグメントです。

アメリカ軍の変化するニーズに応え、設計開発をはじめ部隊の近代化やその維持を手掛けています。

有名な製品としてはストライカー装甲車やエイブラムス戦車などが知られます。後者は既に新規生産は行われていませんが、近代化改修の契約が継続的に結ばれています。

Information Technology

国防や情報機関などの専門性の強い分野へのITサービスを提供するセグメントです。

ペンタゴンのネットワークセキュリティなど、機密情報を取り扱う部門など国家安全保障をサイバー分野からサポートしています。

Mission Systems

陸海空、そして宇宙を含むミスの許されないシステム構築を行うセグメントです。

国家の防衛体制を支える、俗にいうC4ISRなどを手掛けています。

作戦中の司令部と前線兵士の通信や、戦略兵器システム、火器管制システムなどと言えば伝わりやすいかもしれません。

Marine Systems

原子力潜水艦や海軍艦艇の造船や保守を行うセグメントです。

アメリカの東西海岸に造船所を保有しており、ほぼ全ての収益は大規模かつ複数年の契約で行われるアメリカ海軍の開発と保守でまかなわれています。

原子力潜水艦に関する部門は特に専門性が高く、国内で原子力潜水艦を建造できるのはGD以外にはハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)のみとされています。

2019年にはアメリカ海軍史上最大の造船契約を請け負い、2029年までに19隻のバージニア級原子力潜水艦を建造する予定となっています。

企業の基本情報

企業名General Dynamics Corporation
ティッカーGD
セクター資本財
時価総額約422億ドル
予想PER13倍
PBR3.2倍
配当利回り2.88%
増配年数6年
※2020.07.01時点のデータ

10年間の株価の推移

10年間の業績の推移

収益の大半を政府に依存しているため、業績の推移にもその影響が見て取れます。

2018年と2019年にはアメリカの国防費が大幅に増加し、軍隊の近代化に予算が割かれたことで恩恵を得ています。今後も同等の増加率が続くとは思えず、緩やかな増加に戻るのではないでしょうか。反対に極端なまでの国防費の削減も考えにくいと思います。

そのためビジネスジェットの分野を、今後の成長エンジンとして期待したいところです。

10年間のキャッシュフローの推移

10年間の配当の推移

配当性向は無理のない範囲に収まっており、安定した配当を維持できると考えられます。

2013年に減配したようなグラフとなっていますが、通常年4回行われる配当が2012年に5回、2013年に3回だったことが影響しています。各配当単位で見れば増配が続いています。単年度での配当回数が変更された理由は調べきれていません。

10年間のEPSと発行株式数の推移

10年間のROEとROAとROICの推移

それぞれ資金効率の良さを表している指標です。

目安としてROEは12%、ROAとROICは10%以上を安定していると非常に稼ぐ力のある企業だと考えています。

直近の会計年度末のバランスシート

コメント

軍需産業は参入障壁が高いです。

軍隊が武器を必要としている限り、継続可能な事業だと思えます。

商業への転換やその逆を行うことが難しい専門技術を必要としているため、新規参入するためには初めから必要な技術を獲得していかなければならないためです。戦場という特別な環境では信頼性が重要であるため、既存の軍需企業の実績は強みとなります。新規参入業者の製品へ切り替えるためには、広い意味での多大なコストが必要となることも追い風です。

また政府による潜水艦などの調達は数十年にまたがる長期サイクルを前提としており、契約を勝ち取った後は安定した長期的な収益を予測することが可能です。GDの事業セグメントはその意味で強い、と言えるのではないでしょうか。

そしてここ最近のトピックと言えばCOVID-19です。

商業向けのビジネスジェットはやはり影響を受けており、収益への悪影響が発表されています。

しかしながら全ての顧客となる企業が倒産するとは思えず、立ち直った企業や富裕層からはむしろビジネスジェットによる少人数での移動は需要が増すのではないかと考えています。

アメリカの景気後退期への突入と、COVID-19によるビジネスジェットのソーシャルディスタンスの魅力による需要増の天秤はどう傾くでしょうか。悪い方に傾いたとしても防衛産業の恩恵でダメージは限定的になると、楽観的であることは危険でしょうか。