レイセオンの投資判断引き下げとトルコ情勢

レイセオンが格下げ対象に

ミサイル分野で世界トップクラスの防衛企業であるレイセオン(RTN)は、4月3日にUBSから投資判断の格下げと目標株価の引き下げを受けました。その理由と直近の周辺事情に触れたいと思います。

レイセオンはパトリオットミサイルなどで知られる企業で、私事となりますが長期保有用のポートフォリオの中でも比較的大きいポジションとなっています。

TheStreetの報道によれば、UBSのアナリストを務めるマイルス・ウォルトン氏は投資判断をオーバーウェイトからニュートラルに引き下げ、12ヶ月間の目標株価を220ドルから200ドルに引き下げたそうです。これにより一時株価は当日約3%下落した後も下降し176ドル前半となり、現在は反発により180ドル前後となっています。

引き下げの理由

もはや魅力的ではない

TheStreet

上記はウォルトン氏の評価の一説で、この判断を行った理由を伝えています。同社の株価は大型ディフェンシブ銘柄の平均のパフォーマンスを既に9%上回っており、相対的な利回りが低下している状況にあるためとのこと。

直近2月下旬にレイセオンは来年度の見通しに、 防衛費の支出の不確実性を念頭として慎重なガイダンスを発表しています。ただ、アメリカ国防省は2020年度予算を昨年よりも約6%増加させることも伝えており、当然レイセオンを含む防衛企業に恩恵が見込めます。

上昇が追い付いていない他銘柄を物色するか、レイセオンをホールドするか判断が分かれるところです。

ちなみにジム・クレイマー氏はトランプ大統領を見込んで防衛企業を買うべきではないと主張しています。理由はトランプ大統領は株価を非常に気にしていることから、株価に深刻な悪影響を与えるような行動はとらないという考えだそう。

トルコ情勢による防衛企業の立ち回り

国際情勢で難しい立ち位置のトルコの動きが、レイセオンをはじめとする防衛企業に影響を与えています。

これまでバランス外交で切り抜けてきたトルコですが、ロシア(及び中国)陣営に加わることを引き留めようとアメリカが圧力をかける中で、ロシアからの武器購入をやめない姿勢を打ち出してきています。

火種はトルコが導入を目指しているロシア製地対空ミサイルシステム"S400″です。トルコは現在NATOに加入していますが、潜在的な敵陣営であるロシアへの肩入れはNATOの結束を破壊する深刻な利敵行為と考えられています。

トルコがこのままロシアとの関係を深めていけば、同盟国という関係を前提として提供していた軍事技術がロシアに流出する可能性を無視できなくなります。軍事技術の流出を避けるためアメリカの軍事産業はトルコとの取引を見直す必要に迫られます。

ロッキード・マーチンとレイセオンに影響

最も影響を受けるのはロッキード・マーチン(LMT)でしょう。同社は戦闘機F-35の部品供給を一部トルコ企業に委託する計画となっていましたが、トルコ企業を排除することを検討しなければなりません。また、それは同時にトルコが100機程購入する意思を見せている話も霧散することを意味しています。

製造計画の見直しはトルコ以外へのF-35の納入スケジュールにも影響する可能性があります。同じくパトリオットミサイルによる防衛システムを提供しているレイセオンも生産スケジュールの見直しを迫られるでしょう。

CNBCによればトルコが担うF-35生産ラインの停止の影響は45~90日と見積もられるとのこと。部品全体でのトルコへの依存度は約7%だそうです。