GPIFの特定期間の損失額で政府批判を行うメディアはリトマス紙となる

政治思想がにじみ出る年金記事

日本の年金制度は破綻していると言われて久しいです。

年金制度に対する批判そのものを論じるメディアについては私は特に何も思いませんが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用する年金の運用結果に対して、特定の期間だけを指して政府批判につなげようとするメディアには虫唾が走ります。

例えばGoogle砲でおすすめ記事として上がってきたMoneyVoiceの「ついに年金不足を政府が明言、運用失敗で15兆円を溶かしながら国民に自助を求める非道さ=今市太郎」という記事などはその筆頭です。

GPIFは安倍政権のアベノミクス政策に同調する(あるいは強要される)かたちで、2014年10月に投資のポートフォーリオの見直しを実施し、国内株の比率を12%から25%へと倍増させ、外国株の比率も同様に25%へと高めています。
その結果、2018年10〜12月に米株が暴落し、日本株も連動して下落した時期のたった四半期だけで、150兆円の資産合計の1割となる15兆円をいとも簡単に溶かしてしまうという大失態を犯しています。

MoneyVoice

依然として莫大な利益を維持することには触れず

株式市場というのは流動性のあるものですから、その時々によって直前よりも資産が増えたり減ったりするのは当たり前のことです。にもかかわらず、特定の期間だけを指して「大失敗!」などと叫び政府批判を始めるメディアは信用に足るのかどうかよく考えたほうが良いと思います。

少なくとも2018年度Q3だけを指して年金運用に対する政府の批判をするメディア、その筆者を私は信用できません。なぜならGPIFは依然として今回の損失を上回る運用益を維持しているためです。言ってしまえば、まるで年金運用自体が失敗しているかのように表現していることはデマといっても過言ではありません。

2018年度Q3運用開始来(2001〜2018年度Q3)
収益率-9.06%+2.73%(年率)
収益額-14兆8,039億円+56兆6,745億円

GPIFの2018年度Q3の運用状況報告には、はっきりと累計で利益が発生していることが明記されています。にもかかわらず今期で発生した損失額のみを用いて批判しているのはどういうことでしょう。政治的な意図が見えて仕方がありません。

破綻の見えている年金制度を止めようとしない政府を批判することは一向に構いませんが、このような特定条件でのみ都合が良くなるようなデータを用いて政府批判につなげる行為はメディアとして、識者としての良識を疑います。

年率2.73%という収益率は、トップクラスの偉大な投資家と比べれば特筆するような成績でないことは事実ですが、事実として利益をもたらしており効果が発揮されている点は素直に認めるべきではないでしょうか。