ディアジオ(DEO):アルコール飲料の世界的リーダー企業

180カ国、200のブランドを展開する

ディアジオ(DEO)はイギリスに本拠地を構える酒造企業です。ジョニー・ウォーカーやスミノフ、ギネスなど200を超えるブランド商品を保有し、180カ国以上でビジネスを展開するアルコール飲料業界のトップ企業の地位にいます。

「ディアジオ」という会社としての歴史は意外なことに1997年ととても新しいものです。理由としては様々な蒸留所との合併や吸収を繰り返してきたためで、ルーツを辿ってみるとハイグというスコッチウィスキーの蒸留所が誕生した1627年にまで遡ります。

直接的にはディアジオは1756年創業のギネス社と1934年創業のグランド・メトロポリタン社が1997年に合併し誕生しています。公式ウェブサイトで歴史が公開されており、なかなか見ごたえのある内容となっています。

恥ずかしながら歴史を調べるまで全く知らなかったのですが、2002年までバーガーキングはディアジオ傘下のブランドだったのですね。1997年の誕生後も買収や売却を繰り返し本業のアルコール飲料に集中して今の姿となっています。

カテゴリーポートフォリオの状況

2018年度決算資料から
カテゴリー割合
スコッチ25%
ウォッカ11%
アメリカン・ウィスキー2%
カナディアン・ウィスキー7%
ラム7%
IMFLウィスキー5%
リキュール5%
ジン4%
テキーラ3%
ビール16%
低アルコール飲料(RTD)6%
その他9%

ディアジオが分類しているポートフォリオを見てみると、蒸留酒(=スピリッツ)に特化した酒造メーカーであることが分かります。特にウィスキーへの比重が大きく、ウィスキーの中でもスコッチ・ウィスキーが全体の25%を占めています。

地域別の収益分布

2019年Q1
地域割合
北アメリカ34%
ヨーロッパ/トルコ24%
アフリカ12%
ラテンアメリカ/カリブ周辺10%
アジア太平洋20%
  • 北アメリカ:アメリカが大半を占めており、スピリッツによる売上が大半を占めている。
  • ヨーロッパ/トルコ:スピリッツが6割強、ビールが2割を占めている。
  • アフリカ:スピリッツが3割、ビールが5割強を占めている。
  • ラテンアメリカ/カリブ周辺:スピリッツによる売上が大半を占めている。
  • アジア太平洋:インドが4割、中国が2割を占めており、スピリッツによる売上が大半を占めている。

企業データ

ティッカーDEO
企業名Diageo PLC
ディアジオ
本社イギリス・ロンドン州
上場NYSE
予想PER(2019.06.07)24.51倍
予想配当利回り3.51%

イギリスが本拠地ということからも分かる通りDEOというティッカーはアメリカ市場向けのもので、本国イギリスのロンドン証券取引所ではDGEというティッカーとなっています。本記事ではADRであるDEOを基準としています。

株価の推移

過去10年の業績グラフ

業績

世界的にはアルコール消費量は減少傾向にありますが、ディアジオの傘下ブランドは成長を続けています。蒸留酒という比較的消費者の離れにくい分野ということもありますが、強固なブランド価値とプレミアム化を進める戦略が機能していると捉えるべきでしょう。

買収に積極的な企業のためあまり売上や純利益などのグラフが参考になりません。しかしながら継続的に高い粗利益率と営業CFマージンが続いていることから、ディアジオのビジネスは順調であるということは読み取れます。

キャッシュフロー

配当

ブランドポートフォリオの強化は続いているとはいえ、酒類メーカーとして成熟しているディアジオでは他の競合と同じく配当による株主還元を実施しています。

配当性向は持続可能と言われる目安の40%を多少上回っていますが、安定はしているため問題視する水準とは言えないでしょう。連続増配を重視しているのはイギリス企業の傾向でしょうか。

EPSとBPS

EPSは1株当たりの利益を表しており、株数が同じとして右肩上がりであれば順調な成長を続ける企業と見なされます。鮮やかな右肩上がりとまでは表現できませんが、傾向としては右肩上がりな点に文句はつかないでしょう。

株数はほとんど変動がありません。アメリカ企業の場合は積極的な自社株買いを実施するのですが、配当に現れるように自社株買いよりもより積極的な配当を追求するところに文化の違いが見えるような気がしますね。

BPSは企業の手堅さ/純資産の推移を表しています。1株あたりの純資産を表した数値で、こちらも右肩上がりであれば企業の安定度が強まっていることを意味しています。多少のブレはありつつも上昇トレンドですね。

ROEとROA

ROEは株主資本に対する利益率を表しています。言い換えると企業経営の効率の良さとなります。目安としては12%以上を維持していることが効率的な企業と言われており、その観点でディアジオは驚異的な企業と言えるでしょう。

俗っぽい言い方をすればめちゃくちゃ儲かるビジネスを行えているということです。

ROAは総資産に対する利益率を表しています。ROEと同じく企業経営の効率の良さを表す指標ですが、ROEはある程度企業の都合で調整ができてしまう指標なのでROAも確認するべきです。アメリカ企業のROAの平均は約3%となっており、10%を超えている企業は非常に優秀だと言えます。

ROEもROAも重要なことは数値の個別の高さではなく、その数値を維持できることでありディアジオは両者を高い水準域で維持していると考えます。

まとめ

世界的にアルコール消費量が減少する中で、蒸留酒の消費量は影響を受けづらい分野です。そしてその蒸留酒ブランドの中でも有力なものをディアジオは複数保有しています。2018年の蒸留酒ブランドのランキングでは上位10ブランド中4つがディアジオ関連でした。

基本的な展望は良好だと感じていますが、リスクとして蒸留酒に対する規制や課税の可能性が挙げられます。例えば中国では高級酒が政府高官に対する賄賂として用いられていたことから規制を課し、流通量の大幅な減少を引き起こし対中国での売上が3割の減少となったことがあります。

非常に魅力的な企業だと思います。イギリス企業であるため配当に対してアメリカでの課税が行われないことから、NISAで保有するというのも良い選択肢になるかと考えています。ただ、現在の170ドル超という株価で手を出すのはやや割高な印象がありますね。