ブッキングHD(BKNG):オンライン旅行ビジネスの世界的リーダー企業

2019年6月23日

宿泊施設やレストランの予約を世界的に展開

ブッキングHD(BKNG)は、Booking.comなどのブランドで知られるオンライン旅行会社です。ホテルや旅館といった宿泊施設、レストランの予約などを取り扱っており、現在は228カ国でビジネスを展開しています。

1996年にオランダでスタートアップとして始まり、2003年にそのビジネスモデルに興味を示したプライスライン社に買収されています。買収後も成長は続きついにはプライスライン社の中核事業となり、2018年にはプライスライン社は現在のブッキングHDへと社名変更をしています。そのため以前はPCLNのティッカーでした。

その誕生の経緯から、同社は特にヨーロッパでの市場支配力が強いサービスとなっています。

ビジネスモデルとその状況

ブッキングHDは主に以下の6つのブランドを主要ブランドと位置づけています。

  • Booking.com:オンライン宿泊予約サービス
  • KAYAK:旅行日程に基づいた航空会社など各社の費用の比較用メタ検索サービス
  • priceline:北米のホテル、航空券、タクシー、レンタカーなどのオンライン予約サービス
  • agoda:アジア太平洋地域のオンライン宿泊予約サービス
  • Rentalcars.com:オンラインレンタカー予約サービス
  • OpenTable:レストラン予約および情報提供、もしくはレストラン予約管理プロパイダーサービス

これらのブランドごとの細かな収益比率は特に明かされていませんが、Booking.comからの収益が大半を占めていることが2018年度の決算資料では記載されています。

それらのブランドからどのようにして収益を上げているかは下記に分類できます。

  • エージェンシー:提供されたサービスに対して消費者から直接の支払いを受けない取引。旅行予約ならびに旅行保険料が該当。収益の72.1%を占める。
  • マーチャント:提供されたサービスに対して消費者から直接の支払いを受ける取引。クレジットカード割戻や顧客処理手数料など、旅行予約から派生したマーチャントサービスが該当。収益の20.6%を占める。
  • 広告収入:主にKAYAKとOpenTableによる広告枠からの収益と予約管理料が該当。収益の7.3%を占める。

企業データ

ティッカーBKNG
企業名Booking Holdings Inc.
ブッキング・ホールディングス
上場Nasdaq
時価総額約810.5億ドル
予想PER18.21倍
PSR6.02倍
予想配当利回り

※2019.06.22時点のデータ

株価の推移

ITバブル崩壊後には20ドルを割り込む時代もありましたが、現在は1,800ドル前後を推移しています。典型的なITシンデレラ企業と言えるきれいなチャートとなっていますね。直近では成長の鈍化やリセッションの警戒感から軟調さが目立っています。

過去10年の業績グラフ

業績

長期投資を前提とした場合、右肩上がりの営業CFであることが望ましいです。BKNGはその観点で問題なく右肩上がりを続けています。目安として営業CFマージンが15%以上あることが望ましいといわれる中で、30%前後で推移していることも評価できます。

売上も右肩上がりであり、事業規模は拡大トレンドのあります。

キャッシュフロー

配当

配当は行われていません。

EPSとBPS

EPSは1株当たりの利益を表しており、株数が同じとして右肩上がりであれば順調な成長を続ける企業と見なされます。

BPSは企業の手堅さ/純資産の推移を表しています。解散時の1株当たりの価値などとも表現されますが、基本的に右肩上がりが好ましいことに変わりないです。

ROEとROAとROIC

ROEは株主資本に対する利益率を表しています。言い換えると企業経営の効率の良さとなります。目安としては12%以上を維持していることが効率的な企業と言われています。

ROAは総資産に対する利益率を表しています。ROEと同じく企業経営の効率の良さを表す指標ですが、ROEはある程度企業の都合で調整ができてしまう指標なのでROAも確認するべきです。アメリカ企業のROAの平均は約3%となっており、10%を超えている企業は非常に優秀だと言えます。

ROICは投下資本利益率を表しています。ROEでは自己資本のみを考慮しますが、ROICでは他人資本も含むためより本質的な資本効率を見ることができます。

いずれの指標でも重要なのは、数値が安定して高く維持されていることです。

BKNGは全て高水準で維持できていると判断します。

まとめ

競合やリスクの存在

BKNGの主戦場は変化の激しいオンライン予約市場です。なのでGoogle、Apple、Alibaba、Tencent、Amazon、Facebookなどが現在もしくは潜在的な競合相手となっています。他にもExpediaやAirbnb、楽天やじゃらん、Uberなど対策を取るべき競合は非常に多い業界と言えます。

Googleは最近フライトやHotel Adsといったメタ検索サービスの分野にも力を入れ始めており、BKNGは検索流入の比重がGoogleに依存している割合も高いため、同社は明確なリスク要因として名指しをしている状況です。

また旅行業界の業績に直結する事業であるため、グローバルな景気後退や政情不安や災害が発生した場合は事業に悪影響を与えることが予想されます。他にも事業規模が拡大するに従い反トラスト法の観点からの追求が厳しくなることもリスク要因として認識しておくべきでしょう。

参入障壁は確保済みと考える

オンライン事業ということで比較的競合がサービスを開始しやすい可能性をBKNGはリスクとしてあげていますが、同社はある程度の参入障壁を築けているように思えます。

それは全世界に何万と存在する宿泊施設との関係性という参入障壁です。確かに各地の宿泊施設をリストするだけであればオンラインの有用性を活用しやすいですが、それぞれの宿泊施設から外観や内観や提供サービスの情報を入手したりするためには莫大な資本が必要と思われます。

そしてそこから生まれるトラフィックを処理し切るための設備投資や、流入を得るための宣伝投資が追加で必要となります。このため実際には新規参入をするには生半可な金額では太刀打ちできないでしょう。


潜在的な競合として記事でも紹介したGoogleの親会社アルファベットの銘柄紹介記事です。BKNGも検索流入を確保するため宣伝費の大半をGoogleに支払っており、魅力的なビジネスモデルの企業だと思います。