【BTI】銘柄分析:ブリティッシュ・アメリカン・タバコは世界最大規模の煙草企業

2019-07-17

55カ国でトップシェアを誇る世界2位のたばこ企業

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は、イギリスのロンドンに本社を持つ世界最大規模の煙草企業です。ダンヒルやラッキーストライク、ケントやポールモールといったブランド名の紙巻たばこで知られています。

世界200以上の市場に参入しており、55カ国以上でトップシェアを獲得しています。世界で喫煙者は10億人存在するとされており、その内の8分の1がブリティッシュ・アメリカン・タバコ社の製品を使用しているとされており、2018年には約7,080億本のタバコを生産しました。

不思議な社名の豆知識

ブリティッシュなのかアメリカンなのか、社名は初見では不思議なものになっています。これにはタバコ王として語られるデュークという人物の活動が大きく関わっています。1900年頃、彼はタバコ企業の合併を繰り返すことで「アメリカン・タバコ社」としてアメリカで独占的立場を手にします。

その後デュークはイギリス企業が独占する市場に目を向け、イギリス企業の買収に乗り出しますが、イギリス企業たちは合同企業「インペリアル・タバコ社」を立ち上げることで対抗します。そしてこの戦いは拮抗し、1902年には両者の疲弊を避けるための和解策が掲示されることになります。

その和解策というのがアメリカン・タバコ社とインペリアル・タバコ社、米英のタバコ企業の合同企業を立ち上げるというものでした。そして生まれたのがブリティッシュ・アメリカン・タバコです。

この立ち上げは両社の完全な合併ではなく地域ごとの販売などを取り決めたものであったため、今日でもインペリアル・タバコ社は現存しています。アメリカン・タバコ社は独占禁止法(反トラスト法)によりその後分割されたあと、ブリティッシュ・アメリカン・タバコによって買収され吸収されています。

BTIの企業データ

ティッカーBTI
企業名British American Tobacco
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
上場NYSE (ADR)
時価総額約840.4億ドル
予想PER7.36倍
PSR2.73倍
予想配当利回り7.36%

※2019.07.16時点のデータ

BTIの株価の推移

過去10年の業績グラフ

売上と営業利益

タバコというのは原価率が非常に低いという事が良くわかる粗利益率となっています。

その70%を超える粗利益率に対して、経費を除外した営業利益率は約40%となっています。販管費や研究開発費の占める割合は全体の1%にも満たず、大部分はその他項目が影響しています。その他項目というのは税金などです。タバコ業界は税金に強く縛られた業界だという事が見て取れます。

2017年の突出はR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニー社の買収に関連する特別利益の計上の影響が表れています。

長期投資を前提とした場合、右肩上がりの営業CFであることが望ましいです。BTIの営業CFはトレンドとして緩やかな右肩上がりに見えます。タバコは衰退産業と言われますが、依然として稼ぎ出す力を持っていることが分かります。

キャッシュフロー

営業CFマージンが15%以上である場合、キャッシュを稼ぐ力がある企業と言われます。その観点でBTIは問題ない立派なキャッシュフローとなっています。

配当と配当性向

タバコ産業銘柄と言えば配当でしょう。成熟した産業であるため既にフェーズは株主還元に移行していることが期待されるためです。配当は増配傾向にあり、配当の永続性の目安になるフリーCF配当性向を見てみてもまだまだ余裕が見て取れます。

一見すると2018年に減配されているように見えますが、これは為替換算の影響です。本国であるロンドン証券取引所での配当履歴によれば増配が続いています。

EPSと発行株式数

EPSは1株当たりの利益を表しており、株数が同じとして右肩上がりであれば順調な成長を続ける企業と見なされます。横ばいが続いているようです。

ROEとROAとROIC

ROEは株主資本に対する利益率を表しています。言い換えると企業経営の効率の良さとなります。目安としては12%以上を維持していることが効率的な企業と言われています。

ROAは総資産に対する利益率を表しています。ROEと同じく企業経営の効率の良さを表す指標ですが、ROEはある程度企業の都合で調整ができてしまう指標なのでROAも確認するべきです。アメリカ企業のROAの平均は約3%となっており、10%を超えている企業は非常に優秀だと言えます。

ROICは投下資本利益率を表しています。ROEでは自己資本のみを考慮しますが、ROICでは他人資本も含むためより本質的な資本効率を見ることができます。私は3指標の中ではROICを最も重視すべきだと考えています。

いずれの指標でも重要なのは、数値が安定して高く維持されていることです。

そういった観点で見てみるとBTIのROICは10年近く横ばいが続いており、ここからの急激な成長というのは望みにくいです。反対に言えば衰退産業と言われる中で、よく持ちこたえていると評価することもできますね。

バランスシート

まとめ

高い参入障壁による閉じた世界

知っての通りタバコ産業は常に各国政府による厳しい規制にさらされており、新たに事業として参画するための参入障壁は非常に高いです。今では大衆向けの広告手法に対しての規制も強く、新規参入したとしてもそれを世間に知らしめることが困難です。ブリティッシュ・アメリカン・タバコが扱っているブランド銘柄には非喫煙者でも聞いたことのある名前も多く、タバコ産業の中では知名度という強力な強みを持っていると言えるでしょう。

次世代タバコ製品による新時代

2000年代に入りタバコ産業では電子タバコという全く新しい革新的な波が押し寄せてきています。電子タバコ、加熱式タバコ、オーラルタバコというように従来の健康リスクを避けられなかった紙巻たばこに比較して、大きくそのリスクを低減させる可能性のある製品の時代です。

今後もしばらくは紙巻きたばこは産業の原動力で有り続けるでしょうが、消費者の健康への志向は明らかに次世代タバコへ流れを変えつつあり転換を迫っています。競合であるアルトリアと同じように、ブリティッシュ・アメリカン・タバコもその舵切りには対応を始めています。2017年のR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニー社の買収がその例です。

前述した参入障壁に矛盾するようですが、ブリティッシュ・アメリカン・タバコはVUSE、アルトリアはJUUL、インペリアル・タバコはBluといった具合に大手タバコ企業は新進気鋭の電子タバコ企業の買収に勤しんでいます。

FDAの規制リスクと逆張り的な妙味

アメリカではFDAが電子タバコやメンソールタバコへの規制を検討していると報道されるなど、直近でのタバコ産業の行方はあまり見通せない状況です。市場ではほぼこれらのリスクは織り込まれているように見えるため、今後の転がり方の予想によっては買い場と見れば面白いかもしれません。その場合でも、やはりリスク許容度は十分に確保する必要はありますね。