CoD陣営がBF陣営に勝つ可能性は元々無かった

2016年5月8日

がらりと方針を変化させたFPS界の二柱

こんにちは、僕がFPSゲームに初めて魅力を感じたのは『メダル・オブ・オナー 史上最大の作戦』でノルマンディー上陸作戦を体験し、ドイツ軍のトーチカからの機銃掃射を浴びた瞬間です。

あの作品の描写はCornelius Ryanが執筆した「史上最大の作戦」を読むと再現度の高さに驚かされますね。今回はゲームの話を書いてみようと思います。

FPSゲームの顔役、”Call of Duty”と”Battlefield”の新作発表を受けてのユーザー評価についてです。

絶賛と失望、対照的な両シリーズへのユーザー評価

現在FPSジャンルのゲームシリーズとしてはCall of DutyシリーズとBattlefieldシリーズがメインの顔役となって業界を盛り立てています。どちらも戦争をテーマとしたシューティングゲームとして誕生し、世界中で数千万本以上が販売され、新作の情報が公開されれば毎回大手メディアがこぞって報道しあう存在です。

つい先日両シリーズは最新作のトレイラーを公開したのですが、そのYouTube上での評価を見てみましょう。

CoD陣営の最新作『Call of Duty: Infinite Warfare』には、ポジティブな評価の倍以上に当たる約60万件のネガティブな評価が与えられています。しかし一方のBF陣営の最新作『Battlefield 1』には、ポジティブな評価44万件に対して、ネガティブな評価は約1万件とかなり毛色が異なっています。

なぜでしょうか?考えてみました。

未来を選んだCoDと過去を選んだBF

まずそもそもとしてCoD陣営とBF陣営が今回とった戦略について触れておきます。

両シリーズは元々第二次世界大戦を舞台としたシューターとして世界にデビューを果たし、見事ゲーマーたちに受け入れられてきたのですが、作品を重ねるうちに次第に代わり映えのしない同じ設定とシチュエーションが飽きられてきました。

まぁ、当たり前ですよね。延々と独ソ戦を続けていたりしても、遊ぶうちに変化がほしくなりますから。

そんなわけで両シリーズは第二次世界大戦から現代戦へと舞台を移していき、ここ数年は現代戦がFPSのメインとなっていました。そしてまた同じ現象が始まります。

現代戦が飽きられ違う舞台を要求されたとき、面白いことに両者は真逆の選択肢を選びました。

Call of Dutyは完全な未来戦へと進み、Battlefieldはさらに昔の第一次世界大戦へと進みました。

結果はご覧の通りです。

Call of Duty: Infinite Warfare

初めからCoDの負けは決まっていた

最終的にビジネスとして売り上げがどう転ぶのかは分かりませんが、初戦とも言えるデビュートレイラーでのユーザーの心をつかむ戦いは、BF陣営の完勝といっても良いでしょう。

その点について考えてみると、見えてくるのは「初めからCoDは負けていた」ということです。より具体的に言うならば、CoD陣営が負けることはあってもBF陣営が負けるはずが無かったといえます。

CoD陣営のActivision BlizzardとBF陣営のElectronic Artsは元から同じ条件で戦っていたわけではありませんでした。

Activision Blizzardが保有する有力なFPS作品にはCall of Dutyしかありません。対してBF陣営のElectronic Artsは、Battlefieldを筆頭にMedal of HonorやTitanfallといったFPS作品ブランドを多数保有しています。

この状況の差が勝負を初めから決定づけていました。

採れる選択肢の量がElectronic Artsの強み

なぜこの差が勝負を決定づけていたのか、それは「どちらに転ぼうともElectronic Artsは損をしない」状況だったからです。

今回、ゲームの舞台設定を現代から大きく変更することを求められた両陣営は、まず間違いなく未来か過去かの選択肢に直面したことでしょう。どちらにも成功する可能性はありそうです。

しかしここで両陣営の採れる選択肢の差が大きく影響してきます。

「悩むのならどちらの方向も採用してしまえば良い」

視野を狭く一つのBattlefield最新作という範囲で言えば、未来か過去かの二択だったでしょうが、視野を広げてみればBF陣営には同じようなFPSブランドが他に存在しています。CoD陣営にはありませんでした。

Titanfall、BF陣営の保有するもう一つのFPSブランドはその誕生から遙か未来の時代を舞台とした近未来FPS作品として大ヒットを記録し、続編も現在制作が進行中です。もっと言えばStar Wars BattlefrontというのガチガチのSFシューターすら保有しています。

BF陣営は未来戦を選ばなかったわけではなく、陣営全体としてみればしっかりと未来戦も採用した上で過去戦を採用していただけなのです。

Titanfall

第一次世界大戦という選択肢はリスクマネジメントの成果

たとえ第一次世界大戦という舞台設定がそれほどヒットしなかったとしても、Electronic Artsにとっては未来戦を描いたTitanfallが成功すれば良い。

どちらかが成功すればBF陣営としては少なくとも負けることはありません。

英断に思えた第一次世界大戦という選択も、決して博打などではなくしっかりと考え抜かれたリスクマネジメントの一環だと考えるとElectronic Artsは恐ろしい企業だと思います。

もちろんゲーマーとしてはどの陣営のどの作品も面白ければ、それだけ楽しみが増えるので良いことしかありませんね。

でも、こんな風に企業の打算を想像してみるのも楽しくないですか?


エレクトロニック・アーツの銘柄分析です。