織田信長にこき使われる農業全振り女子高生、戦国小町苦労譚

2016年7月3日

「山道を抜けたらそこは戦国時代でした」、そんなあらすじから紹介される『戦国小町苦労譚』の著者の夾竹桃は、史実をベースに「様々な技術を楽しく学ぼう」をコンセプトとして本作の執筆を始めたそうだ。

現代日本で農業を学んでいた歴史好きの女子高生は、突然戦国時代の日本へタイムスリップを果たす。そこで出会ったかの有名な織田信長に対して、取りあえず生き残るために農業で自分の利用価値をアピールすることになり、奮闘するのが本作の大まかなストーリー。

平々凡々な農業高校生、綾小路静子(あやのこうじしずこ)。
祖父の農作業を手伝った帰り道、突然世界が反転。目の前には、憧れの織田信長!?
出で立ちから怪しまれるも、静子はとっさに「農業で才を示す」約束をしてしまう。

戦国時代で現代農業

まだまだ農業技術が確立されておらず、すべてが運任せな要素の強かった戦国時代の農業に対して、時代を超えた知識を持った女子高生がなんとか戦国時代で自分の存在価値を発揮していく。それが農業特化のライトノベル『戦国小町苦労譚』だ。

戦の巻き起こる中で合戦にも参加せず、我関せずとして農業にいそしむスタイルの本作は、一見地味ながらもコンセプト通りに様々な技術が登場して楽しく次の展開を読ませてくれる。

農業全振り女子高生が次々と問題を解決

タイムスリップ早々に織田信長その人と出会い、一瞬にしてすらすらと「織田上総介三郎平朝臣信長……?」と実名を呟いてしまう歴史&農業全振り女子高生が、物珍しさから貧しい村一つを与えられて信長の納得のいく功績を求められ、食糧事情から環境改善までいそしむようになる。

作中では土壌が死にかかっていたり、害獣がうようよいるなど次々と問題が発覚して舞い込んでくるわけだが、"菅野式若苗萎れ定植"や"テキサスゲート"といった普段の生活では聞き慣れない技術や知識が飛び出してきて、その解説と効能を描きながら問題を解決していくテンポが軽妙。

100年単位で未来の知識を駆使して活躍するわけで、はじめは物の試しと様子見だった信長が献上品を見て味わって驚いて「あっぱれ!」と感動する様は、外見が益荒男ながらもヒロイン力ある。ないか?

まぁともかく、戦闘といった派手さを重視しない知識チート系のライトノベルを読んでみたいならばぜひ選択肢の一つに加えてほしい。それが『戦国小町苦労譚』だ。