出会いと別れ、宇宙の虹は暖かい。 「虹色エイリアン」

2016年7月3日

虹色エイリアン』は入間人間が描く、地球人と宇宙人の話だ。

地球に流れ着いた3つの地球外生命体。ごく普通の3人の青少年。

流れて消えていく短い時間の果てに別れることしかできないというなら、せめて。
せめてカナエに、ちゃんとした別れを告げたい。

だからそのための言葉を学ぶまでは、ここに留まろうと決めた。

そう、扉絵に書かれた印象的な文章がひどく印象的だった本作は、美しくあっという間に過ぎ去っていった一夏の物語だ。それぞれの地球人が触れあった宇宙人との交流が描かれる。

宇宙の虹は、暖かい

言葉も通じない名前も分からない。ひやむぎ泥棒か宇宙人かも分からない”カニャエ”とだけ名乗った女の子と、狭苦しいアパートの一室で共同生活を始める「瞳が虹に満ちれば」。

孤独を好んだ男の腹に寄生を始め、宇宙人と自分の体で同居する「ガンメタル魂」。

なぜか自分だけに見える地球滅亡の観測者と交流を持つこととなる「まっしろないのち」。

3つのメインエピソードとエピローグが収録された本作は、読後に人との出会いや別れ、今という時間に起きる様々な事象について、なんとなくどうしようもなく考えさせる物語。

登場人物たちは地球人も宇宙人も、どことなくみんな淡泊で、他者に対して距離を置いた孤独に身を置いている。

そんな彼らが異星人という最も価値観やすべてが異なる存在と交流を持つことで、ちょっとだけ前向きに他者との関わり方への考え方を変容させていく。宇宙という断然が生んだ、規模でいえば個人単位の小さな暖かみ。

そういうのが本作には描かれている。

扉絵の言葉に惹かれたならば、ぜひとも読んでみてほしい『虹色エイリアン』だ。