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生きる時間と世界の違い、人間とドラゴンのふれあい。「ドラゴンさんは友達が欲しい!」

道草家守氏のアース・スターノベルからの著書『ドラゴンさんは友達が欲しい!』は、異世界に転生した女子大生が友達を作るために奮闘する物語です。今回はこの本を紹介しようと思います。

書籍情報は「ぼっち女子大生の“わたし”は、(中略)なぜか異世界で、ぼっち万歳最強種族のドラゴンさまに転生しましたとさ。……友達欲しいのに意味ねえよ!!!と文句を言いつつ友達を作るために奮起するとあるドラゴンさまのお話。ついでに国も世界も救っちゃいます!」となっている。

総評:おすすめ。種族と寿命の悩みとか好きなら買い。

友達のいないぼっちだった主人公は孤高の種族ドラゴンとして異世界で転生するが、やっぱり"友達"という存在に憧れてしまう。コミカルなキャラのやり取りで軽いテンポで物語は進んでいくものの、描かれるテーマの一つである「生きる時間の違い」には強く心を動かされる作品です。

人間とドラゴン、生きる時間の異なる者たち

私はドラゴンである。

縦にさけた瞳孔が美しい黄金の瞳に、ワニのような鋭い牙。
優美な二本角の生える頭部は燃えるようなたてがみで彩られ、
流線型の体は強靭な長い尾を従える。

私はドラゴンである。
その前は、地球という世界の「女子大生」だった。

主人公が転生した世界ではドラゴンは最強の種であり、ほぼ永久に生き続ける孤高の世界を守護する存在だった。

雰囲気とあらすじ

そんな存在に転生しながらも主人公には前世の女子大生であった記憶が残っており、主人公の主観で綴られる本作は非常に軽快でコミカルな文体で進んでいく。

雰囲気としては魔法の存在する中世で、圧倒的強者となった女子大生がぼっちであることに悩みながらお気楽に生きる感じ。

ほぼ終わりのない命を生きるドラゴンとなった女子大生は、転生してから400年をあっという間に過ごした頃、いまだぼっちであった。

絶対的強者あるドラゴンを人々は恐れ、言葉を交わそうとしても恐慌状態の人々は聞く耳を持たず国を挙げて打ち倒そうとあるいは逃げ惑うのみ。

そんな風に過ごした400年で半ば諦めかけていたころに出会う、初めて言葉を交わせた人間。

読むべきか否か

「生きる時間」を描いた作品は数あれど、どれも遠大なSF作品であったり長編のラブストーリーであったりする場合が多いように思う。

そういった作品も結構ではあるが、ライトノベルならではの読みやすさと取っつきやすさ。その観点からこのテーマを扱った作品を読めることは素直に嬉しい。

種族の違う者たちが出会い、心を触れさせあい、生きる時間の違いに悩む。そういったお話をコンパクトにきれいにまとめたのが『ドラゴンさんは友達が欲しい!』という作品の印象だ。

現在のところ2巻まで発売されているようだが、1巻で十分に物語として閉じられている。2巻は未読だがあらすじを見た限りではほぼ別作品のような展開のようだ。あらすじに1巻の重大なネタバレが含まれていたので、未読者は見ないほうがよろしい。

ちょうどよいボリュームで描かれるドラゴンと人間の心のふれあい、それが望みならばぜひ読むべきだとお勧めしたい。

-ライトノベル